うなぎには天然物と養殖物とがあり旬や美味しい時期が微妙に違ってきます。うなぎと言えば土用の丑の日で毎年全国の鰻屋や鰻の蒲焼などこの日は大賑わいですしネット通販でも注文が集まる時期でもあります。
しかし天然の鰻の旬、食べ頃は別の時期、季節だと言う事はあまり知られていません。昔の鰻屋さんの販売戦略として土用の丑の日が始まった事は知られていますが、その実態や販売事情などが関わり現在に至っています。
また、夏バテ防止や疲労回復などにも良いとされるうなぎですが、どのような栄養素や成分がどのような効果や効能を持つのでしょうか?これから暑くなると食べたくなるうなぎの旬、美味しい時期、土用の丑の日の由来やうなぎに含まれる毒、栄養成分と効能などうなぎに関する情報を確認しておきましょう。
夏に人気のうなぎ!旬は夏なのか?天然物、養殖物の美味しい時期とは?

うなぎと言えばうな重やうな丼があり蒲焼が主流ですが、白焼きや肝吸いなども広く知られるうなぎ料理、メニューです。
お菓子ではうなぎパイが有名で浜松市、静岡県のお土産物の定番商品の一つとして挙げられ浜名湖や遠州灘を感じれる人気の商品でもあります。
近年はうなぎの稚魚であるシラスウナギの現象が叫ばれたり、海外からの輸入が増えている傾向にあると言われていますし、一般的にスーパーなどにあるお手軽なうなぎの蒲焼は中国産が多い状況です。
蒲焼などで広く食されるニホンウナギ、オオウナギなどの種類のうなぎは産卵や孵化などは海で行いますが主に川底に生息するため、泥や川質の影響を受けやすいと言われていますし、養殖の際の餌の質などの問題もありますので天然物と養殖物では味に大きな差が出るといわれています。
これら天然物と養殖物の食べ頃、美味しい時期である旬はいつなのでしょうか?確認していきます。
うなぎの旬は土用の丑の日ではない!?天然物と養殖物の違いとは?

うなぎの旬はうなぎが良く食べられる季節と思うことは当然のことですので、土用の丑の日がうなぎの旬であり夏場が鰻の旬であると考えている方は多くいます。
しかし、この土用の丑の日は昔の鰻屋さんの販売戦略であり夏場の鰻が売れない時期に有名な平賀源内が掲げたキャッチフレーズで、うなぎの本来の食べ頃とはずれている時期となりますので注意が必要です。
もちろん近年のうなぎは養殖物も盛んですし天然ものもうなぎ自体は美味しいのですが、夏場の暑い時期にわざわざ鰻を食べる習慣が少なかった江戸時代の庶民やお客さん。販売促進のための戦略で、実際の鰻の旬は秋から冬、8月から12月頃と言われています。
これは天然物の鰻の場合であり、冬の時期を迎える前が栄養が蓄えられており美味しいとのことで、また最近は養殖物の鰻も多く販売されていますし東京や大阪などの都市部でもうなぎの名店や老舗も多く毎日の様に鰻の蒲焼やうな丼、うな重、お茶漬けは人気のメニューであり年間を通して食べられる状況です。
そうした需要にあわせて管理されるつつ養殖していますので、年間を通して食べ頃で美味しく食べられるので特に気にする必要はないですが、やはりうなぎは国産の天然物で旬の時期が一番美味しいですので、年に1度位は是非とも天然もののうなぎのかば焼きを食べることをおすすめします。
- 天然もののうなぎの旬 秋から冬、8月から12月頃
- 養殖物のウナギの旬 年間を通して美味しい
土用の丑の日の由来とうなぎを食べる理由とは?
うなぎを多く食べる季節、時期と言えば土用の丑の日が挙げられますので、うなぎの旬がこの時期だと考えている人は多くいますが実際にはうなぎの旬の時期は少し違っています。
そもそも、土用の丑の日は江戸時代に定められたもので丑の日(7月28日前後)を土用の丑の日と読んだもので、土用とは雑節から来る季節の区分けの一つです。
- 土用
- 八十八夜
- 入梅
- 半夏生
- 二百十日
現在でも暦の上での節目などで使われている雑節ですが、二十四節気と呼ばれる中国由来の暦、季節の節目や区切りなどを春夏秋冬を区分けする為の物が元となっており、日本に合わせた形として取入れられた、作られたのが雑節となります。
この二十四節気も現在も非常に身近な節目として、
- 秋分の日
- 春分の日
- 夏至
- 冬至
- 立秋
- 立春
- 大寒
など、季節を感じる日や時期、季節などに国民の休日などで身近な存在として暦に組み込まれています。この雑節の中の土用は一般的には立秋前の十八日間のことで、この間の丑の日を土用の丑の日として、薬草風呂やお灸をすえて夏バテ対策や疲労回復を図るとともに、うの付く食べ物を食べると体に良いとされた為にうなぎと食べる習慣につながったとされています。
うなぎ以外にも梅干し、うりなども江戸時代には頻繁に食べられており、うなぎと梅干しの食べ合わせなども話題となることがありますが、このうの付く食べ物としての接点が感じられます。
この頃に蘭学者の平賀源内がうなぎのキャンペーンなどで販売戦略として広めたのが土用の丑の日で、うなぎを食べる習慣だと言われていますのでうなぎの本来の旬とは若干のずれが発生しています。
うなぎの産地と養殖、スーパーで販売されているうなぎはどこ産?
うなぎは一般的には養殖が中心で天然物は中々食べることは難しい食べ物ですが、近年は養殖技術も高まり年間を通して安定した品質での出荷が可能になっていたり、海外からの安価なうなぎの輸入などで日本国内のうなぎの需要を支えています。
そもそもうなぎはシラスうなぎの状態でから養殖して出荷サイズになる安定した環境やハウスなどで育てられることになりますが、最近ではこのシラスうなぎの天然物の減少なども問題になっています。
この養殖された場所が産地となりますし、一番長く養殖された場所が産地として表記されるルールとなっています。
その為、稚魚を捕獲した地域がどこであっても養殖場所が産地であり、さまざまな地域の稚魚がごちゃ混ぜになった状態もありますので、そうした面での品質は不安定とも考えられますが、養殖として育つ環境はある程度安定化されています。
スーパーで○○産というシールが貼られている場合はその地域で養殖されたうなぎだと判断することができますし、中国、台湾、などからの輸入も盛んで、国内では鹿児島県、愛知県、宮崎県、静岡県、三重県などが有名です。
うなぎに毒があるってしってますか?
うなぎには鰻毒(イクシオトキシン)と呼ばれる毒があると言われています。これは鰻の血中に含まれるものであり通常の蒲焼や白焼き、鰻屋さんなどで提供されることはないと思いますが、血液を飲んでしまうと吐き気や呼吸困難などを引き起こすと言われています。
加熱することで毒性はなくなりますので、熱を通す鰻料理では特に心配することはなく安心して食べられるでしょうが、生血を飲むなどの行ためは危険であると考えます。また、鰻の蒲焼にによく使われる山椒なども殺菌効果があるので、刺身とワサビの様な関係性とも言えるでしょう。
- 吐き気
- 呼吸困難
うなぎは夏バテ防止などの効果があり歴史的には非常に古くからウナギを食べる習慣があったと言われており、万葉集には鰻を食べることを歌ったものがあるため当時からの栄養源として食されていた事が伺える。
鰻に含まれる栄養素とは?夏に食べるとどんな効果があるのか?

鰻の旬は秋から冬にかけた時期であり季節であることはすでに述べましたが、かといって土用の丑の日の鰻は美味しくないのかと言ったらそうとも言えません。
鰻には夏の時期に必要となる栄養成分が豊富に含まれており、この時期に鰻を食べることで夏バテ防止や疲労回復に繋がる効果を得ることが可能です。
うなぎには豊富なタンパク質とさまざまなビタミン類、DHA、EPA、カルシウム、鉄分、脂質、コラーゲンなどが含まれており、こうした栄養の摂取を一気に行えることからスタミナ食として疲労回復効果などが期待されています。
主な効果として
- 滋養強壮
- 疲労回復
- 免疫力の向上
- 動脈硬化予防
- 夏バテ、風邪予防
- 美肌
夏場の栄養不足を補う!夏バテの予防や解消に最適
日本の夏場は気温が暑く湿度が高く発汗も多くなるため、体内のミネラル成分が失われますし食欲も落ちがちになります。疲労感も蓄積しますし寝苦しい夜が続くと寝不足による体への負担も大きくなるでしょう。
またクーラーなどの冷房器具の発達や普及によって外と室内の寒暖差が激しい時もあり涼しいのはいいのですが、知らず知らずの内に体に負担が掛かっている場合が多くあるのも夏の時期でもあります。
夏場は夏に旬を迎える夏野菜など体を冷やす効果のある野菜や食品、きゅうり、なす、トマトなど摂取が多くなりますので、足りなくなりがちなミネラル類やタンパク質、ビタミン類などをバランスよく摂取できる鰻は重宝する食材と言えるでしょう。
- タンパク質
- 脂質
- ビタミンA、D、E
- ビタミンB群
- DHA、EPA
- ミネラル類(鉄分、カルシウム、亜鉛、リン)
- コラーゲン
- モリブデン
- セレン
- パントテン酸
豊富なミネラル類(鉄、亜鉛、カルシウム)は全体的な健康に効果的

鰻にはさまざまなミネラル類が含まれておりそれぞれの効果を得ることが可能です。鉄分などは血液に効果的な働きを持ち、赤血球の形成、ヘモグロビンの材料となる重要なミネラル類ですし、カルシウムなども骨や歯の形成や精神的な安定などさまざまな効果を持っています。
ただでさえ暑くてイライラしている所にカルシウム不足に陥るとさらにイライラ感が増幅してしまったりなどは避けたいところでもあります。
亜鉛は胎児の発育や子供の成長、男性の精子、女性の卵子の健全な生成に役立つミネラル類で不足しないように注意が必要ですので、夏場の鰻はこれらの面からもさまざまなミネラル類を補える最適な食べ物と言えるでしょう。
カルシウムの食事摂取基準(mg/日) | ||||||||
性別 | 男性 | 女性 | ||||||
年齢等 | 推定平均必要量 | 推奨量 | 目安量 | 耐容上限量 | 推定平均必要量 | 推奨量 | 目安量 | 耐容上限量 |
3〜5(歳) | 500 | 600 | ― | ― | 450 | 550 | ― | ― |
18〜29(歳) | 650 | 800 | ― | 2500 | 550 | 650 | ― | 2500 |
30〜49(歳) | 550 | 650 | ― | 2500 | 550 | 650 | ― | 2500 |
50〜69(歳) | 600 | 700 | ― | 2500 | 550 | 650 | ― | 2500 |
食品標準成分表 栄養素別、食品含有量 アミノ酸含有量 食事摂取基準量 |
出典:日本人の食事摂取基準(2015年版)の概要PDFより
出典先URL:http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000041733.html
特に豊富なビタミンAは粘膜の強化や目の機能向上に
ビタミンAは鶏や豚のレバー、あんきも、にんじん、かぼちゃなどに豊富に含まれている栄養成分で体内の粘膜や皮膚への効果が大きい栄養素です。
夏場は疲労の蓄積などから夏風邪などに注意が必要ですが、ビタミンAを摂取しておく事はこれらの予防に繋がります。
にんじんやかぼちゃなどは他の栄養素を多く含んでいることで知られていますが、うなぎも負けないほど多くの栄養素を含んでおり、ビタミンAに関しては1日の必要摂取量を補えるほどの含有量を持ちますので夏場に限らず時折摂取しておくと健康管理に繋がります。
また、動脈硬化や癌の予防にも効果的と言われており、高齢になりこうした病気への対策が必要な場合にもいいかもしれません。
- にんじん
- かぼちゃ
- 鶏、豚レバー
- あんきも
、
DHA、EPAは効果絶大!血液サラサラ、記憶力向上など
亜麻仁油の効能と効果!オメガ3脂肪酸のα-リノレン酸が凄すぎる
DHA(ドコサヘキサエン酸)、EPA(エイコサペンタエン酸)はオメガ3脂肪酸であり青魚に多く含まれて居ます。このDHAとEPAにはコレステロール値を下げる効能や中性脂肪を下げる効果、血液をサラサラにする働きがあると言われています。
これらは肥満や動脈硬化、血栓などを予防する効果をもつ事で知られており、食の欧米化が進む日本国内において近年見直されてきている成分でもあります。
また脳への作用も大きく、子供の学習力の向上にも効果的と言われており、記憶力の向上などが見込めるとも言われています。
血液がドロドロだとさまざまな悪影響を人体に及ぼしますので、血液サラサラ効果は年齢を重ねるにつれ意識すべきポイントだと思います。
ビタミンEは強い抗酸化作用をもち活性酸素に効果的
ビタミンEはアンチエイジングに効果的な栄養素でありビタミン類の一種です。このアンチエイジングにはビタミンEがもつ抗酸化作用が大きく関わっており、この抗酸化作用が老化の原因とも言われている活性酸素を消去する働きを持ちます。
同じく抗酸化作用をもつビタミンA、Cなどと同じように体内の細胞に悪影響を及ぼす活性酸素の電子ば不足することによるフリーラジカルと呼ばれる状態を解消します。
この電子不足の状態が各細胞に悪影響を及ぼす状態ですのでビタミンEが電子を分けた得ることで活性酸素が無毒化するイメージで、細胞などの老化防止や酸化防止などにつながります。
- ツナ缶
- アーモンド
- モロヘイヤ
うなぎにはモリブデンも豊富に含まれる
モリブデンは納豆やゆばに多く含まれる栄養素ですがウナギにも豊富に含まれて居ます。このモリブデンには酵素の成分となる性質をもち、アミノ酸や尿酸の代謝に関わる効能を持ちます。
肝臓や腎臓に多く存在するミネラル類でもあり、体内のプリン体を尿酸に分解する働きがありますので、プリン体を多く摂取する食生活をおこなう場合は特に必要になりますし、鉄分利用を高める効能も持ちますので貧血予防にも効果的なミネラル類です。
過剰分は体外に排出されるので心配はありませんが、モリブデン不足では意識障害や多呼吸などの危険性があるとも言われますので注意が必要です。
- 納豆
- ゆば
- 大豆類
- ソラマメ
モリブデンの食事摂取基準(μg/日) | ||||||||
性別 | 男性 | 女性 | ||||||
年齢等 | 推定平均必要量 | 推奨量 | 目安量 | 耐容上限量 | 推定平均必要量 | 推奨量 | 目安量 | 耐容上限量 |
3~5(歳) | ― | ― | ― | ― | ― | ― | ― | ― |
18~29(歳) | 20 | 25 | ― | 550 | 20 | 20 | ― | 450 |
30~49(歳) | 25 | 30 | ― | 550 | 20 | 25 | ― | 450 |
50~69(歳) | 20 | 25 | ― | 550 | 20 | 25 | ― | 450 |
食品標準成分表 栄養素別、食品含有量 アミノ酸含有量 食事摂取基準量 |
出典:日本人の食事摂取基準(2015年版)の概要PDFより
出典先URL:http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000041733.html
パントテン酸はビタミンB群の一種
うなぎに豊富に含まれるパントテン酸は水溶性ビタミンでありB群の一種、糖質や脂質の代謝の関わる働きを持つので、エネルギーを作る際に重要な効能を持ちます。
水溶性ビタミンなので調理の家庭でスープや煮汁、味噌汁などにも溶け込むので料理方法の幅も広く、多くのレシピでパントテン酸を多く含む食べ物を食すことが可能です。
- 納豆
- アボカド
- 鶏レバー
まとめ
うなぎは栄養満点の食べ物であり独特のたれの味付けがたまらなく美味しい一品です。近年は夏に食べる機会が多くありますが、本来天然うなぎの旬は秋から冬にかけた時期や季節、養殖技術の発達した最近は年間を通して美味しく食せるようになっています。
豊富なビタミン類やミネラル類を鰻を食す事で補い夏ばての予防や疲労の回復に活かすためにも、この夏の土用の丑の日にはうなぎの蒲焼を楽しめたらと思います。
また、年間を通して食べることも健康管理や免疫の向上効果などさまざまな効果を得ることが可能ですので、定期的な鰻の摂取を習慣づけていければと思います。